
星美百人一首
平成19年度星美百人一首
- ニュース見た お皿の中のあの餃子 私の夕飯なくなった
- オレンジのかわいい花のきんもくせい 甘い香りに心奪われ
- 朝早く 見送る母が手を振れば ほのかに匂う卵焼きの香
- くつの底 すり減っていて気づいたよ これは私の歩いた証
- 一年生 桜ヒラヒラ舞う中で 中学生へ 歩み出してく
- 雪降って あたり一面銀世界 寒さ忘れる 一輪の花
- お年玉 明けてびっくり一万円 福沢諭吉がこっちを見てる
- 母親が二つの腕に三人の 子を抱きながら家路を急ぐ
- 雪の朝 姉は受験へ向かってる がんばれなんてなかなか言えない
- 節分の福豆食べるおばあちゃん いくつになっても元気でいてね
- 応援団 この秋一の大仕事 ピンクの旗がきらきら輝く
- 夜の月 暗い夜道を照らすけど あなたを照らす光はどこか
- 春椿 甘き香りに酔いしれて 風共に舞い 踊り出してる
- 久々に 母と二人で露天風呂 つもる話に キラキラ夜空
- 冬の朝 口から出る息白くなる 冬が来たこと 伝える合図
- 美しい 富士の姿をお手本に 私の部屋も 片づけたいな
- 道端の立木が広げた枝々に 命まぶしく新芽を湛える
- 満開に桜舞いちるそのうらに 人ははかない思いをいだく
- 目を閉じて春を感じる土と草 花の香りでなぜだか焦る
- 吹きぬける 温かな風と冷えた風 風の変わり目 心の変わり目
- 空だけが桜の開花知っていて 人の予想を笑ってみてる
- この花火 ぽとりと落ちたら終わりかな みんなと笑ったクラブ合宿
- かき氷 氷の上にシロップが しみこんでいく 時間のように
- たくさんの困難乗り越え せみたちは この夏やっと笑えてる
- 初めての涙流した合宿は 二度目の夏をやる気にさせた
- 染まりゆく木々に目を向け思うのは 変わる木たちと変わらぬ自分
- 子供達 茜色した空の下 かけずり回って唄を唄って
- さようなら 親の元からしくしくと 一枚一枚 葉が一人旅
- がんばれと みんなが叫ぶグラウンド 力を尽くす運動会
- 冬空のきらめく星が明日を呼ぶ 私の明日はきっと幸せ
- 朝早く 玄関の前でにおう立ち 今日は何枚 元旦の朝
- 元旦は ゆいいつ もうかる 日なのです お年玉こそ 生きがいです
- 秋になり木の葉も私も衣更え 街にあふれるあたたかい色
- 気がつけば釣瓶落としの秋の日に 見上げた空に十六夜の月
- 人生はプラスマイナスゼロである 諦めないでどんなことにも
- 寒い夜なぜか心が温まる そんな本に私は出会った
- サンタさん来なくなってはや二年のぼりはじめた大人の階段
- 夜になり 母が呼びかけ初詣 目あては屋台 神様が泣く
- 夜空には無限の色で花咲いて 心の闇を照らしてくれる
- 祇王寺の竹に囲まれ果てしなく 流れる風に身をゆだねる
- 元旦に家族みんなでおせちの中にあふれるほどの願いを詰めて
- 緑のない殺風景な街中に散りばめられた光の芸術
- ひさびさに皆と顔を合わせると似ている顔が二つずつある
- 偽りの食品の中渦巻くは人の弱さと社会の危さ
- 芸能界とんだものが流行ってる 自分の伴侶を軽く見ること
- クリスマス孤独を感じ街歩く 隣に君がいればいいのに
- たくさんのご馳走みんなで囲んでる 聖夜の家庭 戦地の裏側
- 身にしみる寒さの中でのお雑煮は眼鏡のレンズほっと曇らす
- 新年の挨拶をしてふと思う 日本の風習日本の誇り
- 恒例の星美名物「百人一首」あれこれしぼって渾身の一首
- 桜咲く星美の庭に胸躍らせ今日から進む未来への道
- カーテンの隙間からさすひかり追いそっと開けるといつもの日常
- 一つ円で季節や時間人系まで違うこの世界神は何を示しているのか
- 虹色に染まるこの空この景色隣で笑う君は気付くか
- どんな日も「気をつけてね。」と見送らるたまには後ろ振り返ろうか
- 冬の朝目覚まし止めて髪梳かす窓を開けると白銀の庭
- 冬が来て我が家の炬燵は満員だ自然と増える家族の会話
- 白い空を見た瞬間に花咲いたカーテンをひく妹の顔
- 朝方に寒さに震え外見れば白い灯火世界を染める
- 陽だまりに溶け込む背中眺めつつ意識遠のく窓側の席
- 公孫樹の木枝切り落とされて冬姿隠されていた空青く広がる
- 雪解けの水が流れて樹に宿る樹は花をつけ春を告げ行く
- 大勢で夢中で英語で語り合う帰国直前のフィリピンの夜
- 何時の日か他愛無いこんな日々離れ先の見えないわかれ道行く
- もの思う冬の空気に今独りこの道ゆっくり歩き始める
- 高一の一年間が過ぎていくあっという間の「あ」の字も言わずに
- 恒例の嘘つき大会始まって 何が本当か信じられない
- 春の古都 桃色梅色桜色 街に漂う日本の香り
- 水色の傘に一滴落ちるしずく 私も同じ宇宙のしずく
- 七夕に 願いを込めて見上げれば 星の数ほどきらめく希望
- 飴玉のれもんの甘味とやさしさが 溶けて広がる 笑顔に変わる
- 熱中症 頭クラクラ保健室 友の看病 一番の薬
- 世界には 色んな青があふれてる 空・海の青 ブルーな気持ち
- 友だちの頑張ってる顔胸に秘め 一生懸命名前を叫ぶ
- 年越しに考えこむのは小論文 現代社会と机上冷戦
- 手をのばし 一つの蜜柑に三つの手 これぞ我が家の三国時代
- 力無く地面で溶ける初雪を 駅のホームで そっと見守る
- 早朝に外の景色をながめつつ 霜の白さに背筋が伸びる
- 迷ったら振り返っても良いと思う きっとそこには二人の足跡
- ときどきはつまづくこともあるけれど 一歩一歩踏みしめる道
- 辛いこと 何回あっても乗り越えて そこから見つかる新しい自分
- 思い出になればいいとか言うけれど ほんとは違う欲深い私
- 被爆者の体験聴いて涙する 大きな紙に平和と書いた
- 桜舞う 平和が続く今の世は 偉業を遂げた先人にあり
- この星で何億もある魂を 春に授かり生きてる奇跡
- 旅立つ日 瞳を閉じて思い出す 六年前の自分の姿
- 家にある大きく育ったアロエみて 肉厚な葉に強さ感じる
- 夕風に流れて聞こえる盆踊り 懐かしくなり切なくもなり
- 今までの言われっぱなしの子供から 初の口論親の底知る
- 快晴の空を横切る飛行機雲は 悩める人にひとつの道指す
- 夏の海 浮かぶごみに神の鍋 灰汁が浮いても気付かないのね
- こおろぎの声聞きながら縁側で 人知れず回る扇風機かな
- 冷水のコップに映る陽のかげに いつとはなしに秋の装い
- 月の夜の消え入りそうな虫の音に 言葉に出来ない想い重ねて
- サクサクとすべらず歩むセンターへ 舞い散る白雪さくらにかわれ
- ピンク色卒業の春でもブルー 涙ためついに別れ霜落つ
- 北国の雪の便りを携えし から風の呼ぶ蒼き天空
- この六年 悲しいこともあったのに 目に浮かぶのはみんなの笑顔
- 雛壇の雄雛が問う「まだ好きか」 雌雛は元気に首をふりふり
- 初志貫徹 心に決めた大学名 結露の窓に指先で書く (梅花・山川登美子短歌賞入賞)